遠い音

2011年10月14日 日常
良い季節になった。

2階の和室の掃き出し窓を開けてベランダの緑を眺めている。
風になる前の、気持の良い空気がゆっくりと流れてくる。

音を聞く。
裏の棕櫚がざわざわと鳴る。ひよどりが甲高く鳴き交わす。
どこかの家の鎚音。川を渡る電車の鼓動。車のエンジン。誰かのくしゃみ。空を行く飛行機のジェット音。雀のちゅん。テリアのきゃん。外階段を昇る靴音。窓を閉める音。小学校のチャイム。
口笛。電話が鳴ってる。

槌音は同じリズムだ。
カン、とひとつ叩いて、カンカンカンカンカン、と五つ。

遠い生活音を聞くのが好きだ。


   ・・・・・・・・


薔薇の枯れた枝を切ったり、徒長したツツジを刈ったりしながら午後を庭で過ごした。ぱちんっ、ぱちんっ、とハガネの植木バサミは小気味良い音を立てる。秋の乾いた空気に良く通る音。
この音、父の使うハサミの音を前は部屋で聞いていたっけなぁ。
のどかな休日の音だった。

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