バナナ・ドリーム

2007年10月3日
父は昭和ひとけた生まれ。「巨人・大鵬・卵焼き」世代。
大鵬はともかく、なんだかんだいっても巨人が優勝すれば嬉しそうだし、卵焼きが大好物だ。
この世代らしいなぁと思う好物がもうひとつ。

バナナ。

まだね、バナナが高級な果物で滅多に食べられなかった子供時代の郷愁があるらしい。祭りに出ていた香具師の、バナナの叩き売りなんていう思い出も嬉しそうに語ってくれる。私が子供のころから実家の食卓には常に父専用のバナナがあった。そんな大好物のバナナだったのに、ある時から突然、一切口にしなくなった。

昨年、抗癌剤を投与していた時だ。使っていた抗癌剤がカリウムに反応するらしく、バナナを食べてリバースした。その記憶が強烈だったのか、その後は、バナナの匂いも嗅ぎたくなさそうだった。
半世紀にわたる大好物だったのに。父といえばバナナって感じだったのになあ。・・・と、密かにショックだったりしたんだ。
正直、抗癌剤で髪が抜けてツルッ禿げになったことよりも、父の「病い」を突きつけられた気がして少し落ち込んだ。

先日、実家に顔を出すときに、何か買っていくものはない?と電話をしたら「バナナ買ってきてくれ」と言われた。嬉しかった。
治療から1年経って、抗癌剤の影響も抜けたのかもしれない。髪も、すっかり生え変わって、むしろ黒い髪が増えたようにさえ見えるし。
年寄りだから、元気に飛んで歩くってワケには行かないけれども、それでも少しずつ回復している。ひとの身体って、すごいなぁ、と思う。

ちなみに。
父は、バナナは黄色くて硬いうちに食べるのが好き。私も同じ。
皮が黒ずんで甘い柔らかい熟れたバナナを好むのが母と夫。
好みって面白い。

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