世界でもっとも美しい十字街、だそう。

余分な描写のない文章。速い速い。登場人物の誰にも感情移入していない。主要人物が次々と死んでいく。残るのは美しい巴里の街ばかり。この物語の主人公は巴里なんだな。
松本清張の「日本の黒い霧」を連想する疑獄事件。

 
10年ほど前の冬、Montparnasseのアパートメントホテルに6週間住んで、15区にあるHopital Boucicoutに毎日通った。
こんにちは、お願いします、これ、と、あれ、いち、に、さん、お勘定してください、ありがとう、さようなら。
これだけで暮らした。面白かった。
いい加減に作ったポロネギのスープがびっくりするくらい美味しかった。乳製品は濃厚で優しかった。フランスは農業国なんだなと思った。バケットは香ばしく、パイはどこまでもどこまでもサクサクと崩れた。
昼休みの2時間を店員はのんびり食事で扉を閉ざし、日曜は店という店がお休みしていた。なるほど社会主義気質の国なんだと思ったり。
子供と犬の躾が行き届いていた。犬の糞を掃除する赤いバキュームバイクに乗ったお兄さんたちがカッコウ良かった。そうか、汚れ仕事ほどキレイにカッコウ良く装って片付けるから粋なのね、と納得した。
そんなあれこれを思い出した。



軍靴の音が近づく時代の疑獄事件を巡る冒険譚。
策謀と絶望がごったがえす異邦人の街の物語。
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