20年くらい前の春。釧路の寿司屋で初めて鮭の握りを出されて食べたのだけど、これがとても美味しくて。まだ、いまほど生食の鮭が当たり前に出回ってはいなくて、鮭といえば塩鮭だった頃。
その時、秋に帰ってくるはずの鮭なのに、春に里帰りしちゃうのがいて、それはまだ脂が乗り切っていないので生でも美味しく食べられるということ、それを「時不知 トキシラズ」と呼ぶんだと教えてもらった。

いまスーパーに行くと「時鮭」とラベルを貼られた切り身がいっぱいならんでいて、今は秋で遡上の時期だから「時に適った」鮭って意味で時鮭というのかと思ってたんだけど、そうでもないらしい。
トキシラズが良く知られるようになって、詰めて「時鮭」って呼ぶようになったらしいんだけど、えっとー、ってことは今並んでいるのは春に獲れた鮭ってこと? 違うよね、「今が旬!」とかってポップが並んでるし。

あと、最近の産地表示で一番多いのがチリ。
はじめ、チリは南半球だから季節は逆。この時季にこんなに鮭が遡上するの?って思って、あ、そうかだからチリ産は正しく「時不知」の鮭なのかぁ〜なんて思って、でもよく見たら「養殖」ってあるから余計にわからなくなった(笑)

鮭は塩鮭に限ると私は思ってる。
びしっと塩をきかせる以外に鮭を美味しく食べる方法はない!と断定している(すいません 笑)
20年前に食べた釧路の握りの、生鮭の美味しさはその後一度も味わえてない。
初物で感動ってのもあったろうけど、たぶん、量が出回りすぎたんだろうな。「鮭児」なんかも、あっというまにメジャーになっちゃって、ホンモノを知らないままにみんなが食べた気になっちゃって、幻の味がまやかしの味になっちゃった。そんな気がする。

この頃は食品の産地や原材料表示がうるさいし、たくさんの食材から選ぶときの参考にもしてるけど、実際には参考になるほど表示の意味を知らないかもしれないなぁ。
時鮭にしたって、結局のところイマイチよくわかんないんだから。

だけど塩鮭とご飯。美味しいね♪

コメント

はち
はち
2007年10月27日23:50

実は私も二十年ほど前に似たような経験をしました
鮭と言えば塩鮭が当たり前の時代に、お刺身でいただいたのです。いや、それはそれはおいしくて忘れられない思い出になっています。
ただ、私が食べたのは高級なトキシラズではなく、美藤さんのお話にも出てくる銀ザケの養殖もの。当時三陸地方でギンザケの海面養殖が試みられており、そのサンプルをいただいのです。従来日本で獲っていた鮭はおもに野生のシロザケで、寄生虫の可能性があるためルイベ以外で生食されることはほとんどなかったようです。餌由来の寄生虫感染の可能性がない海面養殖のギンザケ、鮭の刺身が安全に食べられるという点で、当時目から鱗でした。このように最初は高級魚で出発した養殖ギンザケも、流通量が増えるとともに様々な質のものが市場に回るようになり、イメージが落ちているのが残念です。
ちなみに、トキシラズを最初に食べたのは数年前のやはり釧路で、あまり感動しなかったのはまやかしの味のせい、それとも期待し過ぎ!?憧れのままにしといたほうがよかったのかなとも

あの大量に出回っているトキシラズは外洋ものの冷凍品ではないかと睨んでます。あと、南半球には野生の鮭はいないそうです、これ「へぇ〜」だと思いませんか。

美藤
美藤
2007年10月28日2:18

>南半球には野生の鮭はいないそうです

おお〜そうなんですかぁ〜?!
チリ産の鮭のこと書きながら、チリにも鮭はいるのかしら?ってふと思ったんですよね〜。はい。「へぇ〜」です。検索の手間が省けました〜(笑)。ありがとうございます。

それにしても、日本人の食への欲求ってすごいですね。
今年の夏に、黄色く熟した甘そうなミカンをスーパーでみつけて、こんな時季に?って手に取ったらN.Z.だったかな?やっぱり南半球産でした!
柿と並んでこれぞ日本の果実って印象なのでびっくりしたのですが、一年中甘いミカンを食べようと思ったらそうなるのかーと、これまた「へぇ〜」でした。
そういえば最近は「冷凍ミカン」というものを見なくなったなぁ〜なんて思い出したりもして(笑)。

でも、生態系とか固有の食文化とか、どんどん変わっていきそうで、すごいなぁと思う反面怖いような気もしますね。漁業・農業の技術の現状ってちょっと調べると驚きの宝庫かもしれないですね。
興味深いコメントありがとうございました。

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