「吉兆味ばなし」

2007年11月16日 読書
その道一すじ、などと誰でも心やすく言いますが、この湯木さんぐらい、それがぴったりする人を知りません。まるで金太郎あめのように、どこを切っても、味のことしか、料理のことしか出てこないのです。
吉兆というのは、日本料理店として、当代その右に出るものはない、第一等の店です。もちろん、名前だけの通った店は、あちらにもこちらにもたくさんあるし、あるいは日本料理のうちでも、すし、天ぷら、うなぎ、どじょう、すっぽんなど、専門の店には、それぞれ見事な店もあるとして、日本料理全体を通して、ぼくは、吉兆を天下第一等の店というのです。   
                          あとがき:花森安治


この本は、ほんとうに有難い本だ。
花森安治が、魯山人にまさる、と言った吉兆の初代・湯木貞一に聞き書きしたもの。題名どおり、味にまつわることばかり。
知り合いの板前さんにあれこれ聞いているような気安さで、料理のいろはを知ることができる。知って、自分でもちょっとやってみようかという気にさせてくれる。
私はこの本で、煮ナスの作り方を覚えた。

当代一の料理人とこだわりの編集者が作り上げたこの本は、内容も装丁も、活字のひとつひとつまで、そう、いまではもう「有難い」ような本なのだと思う。

テレビにでて苦しい言い訳をしているのは、湯木さんの息子さんやお孫さんなんだろうか・・・。
この本くらいはちゃんと読んだだろうか・・そんなこと思いながらニュースを見ている。

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