姦通文学だそうだけれども、ここで描かれているのは男女の愛じゃないのね。背信の相手は夫ではなくて神なのだけれど、信仰に背いても、という男と女の「情念」がまったく感じられなくて、なんというか息苦しい。清らかに神の国を創造しようとするコミュニティの人々の陰湿さ、酷薄さ。罰を受けているヒロインの目も据わっている気がする。後悔とか贖罪とかではなく、ある意味殉教者の喜びに目が据わっている。誰も、人と人として愛し合っているように見えない。・・・んだけど、そういう読み方をする私が間違いなんだろうな。罪、罰、死、赦し、昇華。信仰というのがどういうものか皆目見当のつかない私にはあまりに難しく、不毛な文学でしたわ。
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