古家有り

2010年1月28日 日常
暮れの大掃除の後だから27日かな、小さな器に生けて玄関に置いた庭の千両がまだ葉も落とさず実の色も褪せずにいる。ひと月以上。どんだけ我が家の玄関が寒いかって話だわ・・・。

寒いんだけど、私はうちの玄関が好き。
半世紀ほど前にこの家を建てた人は、都内で手広く商売をやっていた人で、隠居したら住むつもりでいたとかでなかなか無駄に凝った家だ。父がこの家を買ってから二階を増築したり台所周りに手を入れたりしたので、全体としてはただの昭和の家になってしまい、売りに出したら「古家有り」という土地だけの価値しか無さそうなんだけど、でも玄関だけはなかなかいい。と私は思っている。
玄関の引き戸は硝子格子の一間両開きで、跨がないと入れない高い敷居だ。木製の敷居と戸が、からからりと軽やかな音をたてる。入って左手には丸窓があり、鴨居や土壁には竹の細工があったりする。格子の組天井もなかなか良いのではない?上がり框の前の沓脱ぎも自然な切り出し石で夏は打ち水をするとひんやり心地良い。冬寒いわけだ・・。

一階の建具はすべて木製なんだけれど、半世紀前はちゃんとした国産の木を使っていたからなんだろう歪みも破損もなにもないことに感心する。前に住んでいたマンションの建具は一見洒落てはいたけれども、築浅いにもかかわらず歪んできたのがわかったし、柱などうっかり撫で上げたりするとトゲ刺したりした。木目の粗い輸入材や合板だからだ。
使っている硝子も昔のどこか温かみのあるもので、今の硝子に比べたら強度は低そうなのによく割れずにもっていると思う。
硝子も建具も壊れたら換えはないと思うと、古臭く煤けた木戸一枚がすごく懐かしいものに感じる。

敷居は高いし段差は多いし、水周りも使い勝手は悪いしともかく寒いしでバリアフリーとは無縁の家なんだけれど、この玄関や建具を残してのリフォームとか可能だろうか?なんかすごくお金かかりそうだ。古民家と言えるほどの価値はないけど、とても愛着があって建て替えなんて考えられない。テレビのビフォアアフターだっけ、リフォーム番組、あれに出てなんとかの匠にお願いするしかないかしら・・と密かに考えたりしてる。

しかしこの家は寒い。



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