今日、仕事でとある公共施設にいた。
20代だろう、私から見たら「男の子」と言ってしまいそうな男性に声を掛けられた。
手には小ぶりのフラワーアレンジメントの入った袋。

この花を貰ってもらえませんか、と言う。私が怪訝そうな顔をしたのだろう。
「今日ある人にこれをあげたかったんですが、会えなくなってしまって、自分の家に飾るのも似合わないし、ここに飾ってもらえたらと思って・・・」

雨の中、大事に抱えてきたんだろうな。
私は受け取りたかった。ありがとうございます、飾らせていただきますね、と言いたかった。
だけど、受け取れないのだ。
公共施設ゆえ、モノの出入りにはいちいち伝票が必要で融通が利かない。まして、私はそこの職員ではなかった。施設に来る人からみたら、身分証下げて仕事してるから職員との区別もないだろうから声をかけたのだろうけれど、花一輪、受け取ってしまうわけにはいかないのだった。バックヤードにいた職員が気付いて出てきて、丁重にお断りをしてくれた。

「そうですよね、突然すいませんでした」
そう言って彼は帰って行った。

なんか、せつなかった。
私は、私は受け取りたかったんだよ。綺麗な花ですね、飾らせてもらいますね、って言いたかったんだよ。
私が妄想するような、ロマンチックな話じゃないかもしれない。ほんとただ単に持て余しちゃったって話なのかもしれないけど。でも、花を買うって、やっぱり特別なことだもの。アレンジメントの袋を提げる彼は花を買いなれてる風でもなかったもの。

花束ひとつ、受け取れないって、なんてツマンナイ場所なの?
青とピンクの可愛らしい花たち。誰かに喜ばれたかった花たち。
彼に「すいませんでした」なんて言わせてしまって、ごめん。ごめんね。ほんとごめん。

コメント

むささび
2010年10月31日9:54

やだー美藤さん! 「あたし個人にちょうだいな」って言ってもらえばよかったじゃないのー。職場にはひとめぼれされたという武勇伝を残せばよかったじゃないのー。おうちに持って帰ってしみじみ眺めればよかったじゃないのー。

美藤
2010年11月1日0:33

そーかー!「あたしに頂戴っ!」って言えば・・い、い、い言えない~~(笑)。どうもね、しみじみウロタエテしまう私は武勇伝は残せそうもないです~。
今日、あの花はどこで咲いてるんだろう。

劣化うらん弾
2010年11月27日6:32

これはなんとも切ない話ですね。
彼はその後そのお花をどうしたんだろう…。
お花を渡したかった相手に渡せなかったうんぬんよりも、
お花を持ち帰った彼の後姿を想像すると切ないですね。
歳取って来て、益々こーゆー話は駄目だ、切なくて苦しい。

美藤
2010年12月2日15:36

うらんさん

そうなんです、そうなんですよー。
花を持ち帰る彼が切ないんですよ。
だから花を引き受けてあげたかったんです。
どこで咲いても花は花でキレイなんだから。
あーやっぱり受け取っちゃえばよかったー。
私にむささびさんの度量があればよかったんだけどなぁ。。

コメントありがとう。
気付くの遅れてごめんなさい。

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