昨日の朝、出勤時間に門を出ると町内の路地に川嶋のおばさんの姿があった。
自宅の屋根を見上げながら一服する様子はいつも通りだ。
挨拶するには距離があったし、駅へは方向が逆なので、おはようございますと軽く会釈して背を向けた。80歳を越えて耳も眼も遠いので私に気がついたかどうかはわからない。屋根を見上げたままのようだったから。

夜帰宅すると、母が、川嶋のおばさんが亡くなったと言う。
お昼に、炬燵で転寝する姿のまま亡くなられていたと。

私が子供の頃は、おっかないおばさん、だった。
大きな声で夫婦喧嘩をし、近所のアパートの住人のゴミの出し方がなってないといつも怒鳴り込んでいた。町内をまわるセールスマンなどはよく捕まって文句を言われていた。
おっかなかったので、挨拶は欠かさないようにし、なるべく出くわさないようにもしていたっけ。

実家に戻って挨拶に行ったとき、すっかり毒気が抜けて感じの良いお婆さんになっていたのにちょっとびっくりした。
町内の路地や近所のスーパーで出会ってももう怖くなかったし、むしろ煙草を吸いながら、町内を巡回する姿を見るとほっとするような気になった。


年末には父の趣味仲間の杉本さんが亡くなった。95歳。前日には元気に忘年会に出ていた。
95歳に、87歳。
順番なんだなとも思えるし、長く患ってと言うのでもないのでさばさばとした逝き方なんだけれども、さばさばとした分だけさばさばとサミシイ。
私自身とすごく親しかった方々ではないけれど、子供の頃から知っている風景に点在してた方々。懐かしい点景がちょっとずつ変わっていく。そんなサビシサ。
そんなサビシサも当たり前になっていくのか。

そうやって、いつかみんないなくなる。
いつか私も。




コメント

はにゃ。
2011年1月13日16:28

・・本当に・・・・・。

美藤
2011年1月15日20:58

すこし羨ましい逝き方でもありました。

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