古傷

2011年12月23日 日常
中学2年の冬に、救急車というものに初めて乗った。

台所でコップを洗っていたら洗い桶の水が真っ赤になって、見ると右手人差し指の付け根がガラスでざっくり切れていた。バンドエイドを探したけれど救急箱は空っぽで、仕方がないのでお隣の小母さんを訪ねた。バンドエイドを貰おうと思って。
だけど傷を見た小母さんがびっくりして病院へ連れて行ってくれた。ところが近所の病院は、救急指定の病院だったのに、「いま外科医がいないから」と診てはくれず、ではどこへ行けば・・・と途方に暮れていると巡回中のおまわりさんに出会って声を掛けられた。カクカクシカジカと話すと、今日は日曜だから救急車呼んだほうが早いよ、と無線で連絡を取ってくれて、救急車が到着、小母さんとふたりで乗り込んだ。

私は焦っていた。バンドエイドがなかったばっかりに、なんだかオオゴトになってしまって・・。おまわりさんにも救急車の人にも、外科の先生にも言いたかった。バンドエイドが欲しかっただけなんです、と。

夜。帰宅した父に話して、お隣へお礼に行った。
父に、電話すれば良かったのに・・と言われたけれど、車で30分の街で仕事してる父に電話することなど考えもしなかった。だって「バンドエイドが欲しかっただけだから・・」と言ったら「まあそうだな」と父も納得していた。

結果は、かなり深く切っていたらしく5針縫ったから病院へは行ったほうが良かったのだけれど。関節なので縫わないと塞がらない傷だったようだから。バンドエイドがあったら、数日経ってもっと酷いことになっていたかもしれない。

右の人差し指の付け根には、齢27日くらいの弓月のような白い傷が残っている。
年齢を重ねてから、この傷が存在感を発揮しだした。小さな血管やなにかを傷つけていたんだろう。血行が悪いのか人差し指だけ冷たくなって痺れたような鈍痛を感じるときがある。
切ったときは、困ったなと思うばかりで不思議と痛みを感じてなかったのだけど。
古傷をさすっていると、あの日の困った気分を思い出す。

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