落ち葉を掃くのが面倒だからって、木を幹から切ってしまうというそういうガサツさが嫌だ。枝の落とし方にだってやりようというものがあるはずだ。樹形は悪くなるけれども隣家に張り出した枝を間引けばいいではないか。ついでのように、ヤケクソのように枝を落とされた姫辛夷は春になって桜も満開だというのにまだ丸裸だ。夏に大きな葉が木陰を作ってくれて、さわやかな葉擦れの音をたててくれるこの木が大好きなのに。この冬、姫辛夷の木を見るたびため息が出た。どうしてこういう無残な真似をするのだろうと、ずっと腹立たしかったんだ。
姫辛夷の大きな木が、一輪だけ花を咲かせていた。
太い幹から伸びた細枝の先に一輪だけ。
この一輪に気付けよ。
姫辛夷の大きな木が、一輪だけ花を咲かせていた。
太い幹から伸びた細枝の先に一輪だけ。
この一輪に気付けよ。
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