一月の、内緒の休日が忘れられない私は今日、内緒の有給休暇をとった。
家から一時間ほどの街のビジネスホテルに部屋を取った。昼前からチェックインできる格安のネットプランがあって、ただもうごろごろだらだらして過ごすために「出勤」した。
主に既婚男性が説明が面倒な外出は「仕事」と言って出かける気持がよくわかる。大義名分だもん。印籠だもん。仕事する人でもなく、家族する人でもなく、野放しの私。
出かけた街は観光地でも繁華街でもない。ましてやお洒落な街なんかでもない、普通の暮らしのある街。アーケードの商店街をぶらぶら歩いてまわる。店先に並ぶあれこれの値頃感が気になるのはやっぱり主婦だからだけど、今日は家事に直結しないのが気楽で楽しい。見ているものがドラッグストアの詰め替え用シャンプーであっても、だ。
八百屋、魚屋、精肉店がどこも元気で活気がある。佃煮屋の自家製アサリの生姜煮が美味しそうだったなぁ。お肉屋さんで揚げたてのコロッケとハムカツ、総菜屋さんでタラコと梅のおにぎり、野菜の即席漬け(カブ、キュウリ、キャベツ、セロリ、にんじん、茗荷)を買う。これが今日のランチ。デザートはイチジク。きっと甘いものも欲しくなると思うけど、これは後で買いに出ればいいや。
チェックインして、家では絶対やらないことをする。ベッドでの食事。自宅の寝室は和室に布団なのでなおのこと飲み食いするなんて考えられない。具合が悪くて寝込んでいても、水を飲む以外は起きて居間へいくもんな。ホテルの部屋って、それだけでも非日常だ。テレビをつけたら「第三の男」をやっていたので、それを見ながら買い込んだ惣菜をもぐもぐ。旨いなぁ。美味しいなぁ。この誰にも内緒の自堕落。
歩き去るアリダ・バリを見送って、そのままうとうと。小一時間。目覚めて、窓から見える空の色合いが変わってゆくのをぼんやり眺める。ぼんやり。ああ、やっとひとりだなぁ。
家から一時間ほどの街のビジネスホテルに部屋を取った。昼前からチェックインできる格安のネットプランがあって、ただもうごろごろだらだらして過ごすために「出勤」した。
主に既婚男性が説明が面倒な外出は「仕事」と言って出かける気持がよくわかる。大義名分だもん。印籠だもん。仕事する人でもなく、家族する人でもなく、野放しの私。
出かけた街は観光地でも繁華街でもない。ましてやお洒落な街なんかでもない、普通の暮らしのある街。アーケードの商店街をぶらぶら歩いてまわる。店先に並ぶあれこれの値頃感が気になるのはやっぱり主婦だからだけど、今日は家事に直結しないのが気楽で楽しい。見ているものがドラッグストアの詰め替え用シャンプーであっても、だ。
八百屋、魚屋、精肉店がどこも元気で活気がある。佃煮屋の自家製アサリの生姜煮が美味しそうだったなぁ。お肉屋さんで揚げたてのコロッケとハムカツ、総菜屋さんでタラコと梅のおにぎり、野菜の即席漬け(カブ、キュウリ、キャベツ、セロリ、にんじん、茗荷)を買う。これが今日のランチ。デザートはイチジク。きっと甘いものも欲しくなると思うけど、これは後で買いに出ればいいや。
チェックインして、家では絶対やらないことをする。ベッドでの食事。自宅の寝室は和室に布団なのでなおのこと飲み食いするなんて考えられない。具合が悪くて寝込んでいても、水を飲む以外は起きて居間へいくもんな。ホテルの部屋って、それだけでも非日常だ。テレビをつけたら「第三の男」をやっていたので、それを見ながら買い込んだ惣菜をもぐもぐ。旨いなぁ。美味しいなぁ。この誰にも内緒の自堕落。
歩き去るアリダ・バリを見送って、そのままうとうと。小一時間。目覚めて、窓から見える空の色合いが変わってゆくのをぼんやり眺める。ぼんやり。ああ、やっとひとりだなぁ。
強い酒の味が好きだ。
お気に入りのベトナム食堂ではこれ。シナモンの香りと、ナッツ系なのかな、ほのかな甘味が南国風味満点。香りも甘味も強いアルコールにさらりと持ってゆかれてしまうので後味もいい。キスがしたくなる夏のスピリッツ。ロックで。
しかししかしこの店の揚げ春巻きは来るたびに大きくなってないか?青パパイヤのサラダと牛肉のフォをふたりでわけあって食べて死ぬほどお腹いっぱい。
お気に入りのベトナム食堂ではこれ。シナモンの香りと、ナッツ系なのかな、ほのかな甘味が南国風味満点。香りも甘味も強いアルコールにさらりと持ってゆかれてしまうので後味もいい。キスがしたくなる夏のスピリッツ。ロックで。
しかししかしこの店の揚げ春巻きは来るたびに大きくなってないか?青パパイヤのサラダと牛肉のフォをふたりでわけあって食べて死ぬほどお腹いっぱい。
蜘蛛の次は蟻である。
濡れ縁に腰掛けてぼんやり庭を見ていたら、足元を蟻がなにやら咥えて歩いていた。自分の体長の半分ほどもある、なんだろうお菓子のクズのようなもの。巣に帰るんだろうなぁと目で追っているとずんずんずんずん進んでいく。早い。ヒトなら襖抱えて球場を小走りで横切るくらいの勢いだ。ツツジの茂みの下に巣穴の入り口があった。大きな巣のようで、たくさんの蟻が出入りしている。小さな芋虫がいままさに巣穴に引きずり込まれようとしている。小さいといっても蟻よりはずっと大きい。逃げようと抵抗する芋虫に四方八方から蟻が集まってくる。喰うか喰われるかのドラマだったりするわけだね。
おお、リアルナショジオTVだぁ・・とか思いながら、しゃがみこんで蟻んこを眺めている私は、最近すっかり就学前のコドモみたいじゃないか。はるか昔もこんな時間を過ごしていたなぁと思い出して可笑しくなる。
何度でも巣を架けなおす蜘蛛や餌を運ぶ蟻。蜜柑やサツキの花に頭を突っ込み飛び交う蜂。来世はこの庭の虫の一匹に生まれ変わってもいいかな、なんてふと。全うされる命の在り方としては、あんがい上等かもしれない。
小さな庭でコドモの心に戻って(戻れやしないけど)ぼんやりしている時間がいま一番休まる時間だ。おかげで蚊に喰われたくるぶしが痒い。
濡れ縁に腰掛けてぼんやり庭を見ていたら、足元を蟻がなにやら咥えて歩いていた。自分の体長の半分ほどもある、なんだろうお菓子のクズのようなもの。巣に帰るんだろうなぁと目で追っているとずんずんずんずん進んでいく。早い。ヒトなら襖抱えて球場を小走りで横切るくらいの勢いだ。ツツジの茂みの下に巣穴の入り口があった。大きな巣のようで、たくさんの蟻が出入りしている。小さな芋虫がいままさに巣穴に引きずり込まれようとしている。小さいといっても蟻よりはずっと大きい。逃げようと抵抗する芋虫に四方八方から蟻が集まってくる。喰うか喰われるかのドラマだったりするわけだね。
おお、リアルナショジオTVだぁ・・とか思いながら、しゃがみこんで蟻んこを眺めている私は、最近すっかり就学前のコドモみたいじゃないか。はるか昔もこんな時間を過ごしていたなぁと思い出して可笑しくなる。
何度でも巣を架けなおす蜘蛛や餌を運ぶ蟻。蜜柑やサツキの花に頭を突っ込み飛び交う蜂。来世はこの庭の虫の一匹に生まれ変わってもいいかな、なんてふと。全うされる命の在り方としては、あんがい上等かもしれない。
小さな庭でコドモの心に戻って(戻れやしないけど)ぼんやりしている時間がいま一番休まる時間だ。おかげで蚊に喰われたくるぶしが痒い。
蜘蛛の寿命ってどのくらいなんだろ?
庭の片隅に住み着いている蜘蛛が一匹。物干しと塀と植木に支えの糸を張って直径20cmほどの巣を架けている。
最初に見たときは、支え糸が一本切れて半壊状態だった。何日かして見ると、同じ場所で同じ蜘蛛が(たぶん)せっせと巣を建築中だった。蜘蛛の巣って、外側から中心に向かって糸を張っていくのねぇ。糸の間隔も均等だし、へえぇ・・と感心して眺めてしまった。支えの糸はどうやって張るんだろう?糸にお尻でぶら下がってあとは風まかせでどっかに取り付くのかなぁ?
その蜘蛛は体長5mmあるかなきかだから、ヒトだったら5~60畳くらいの大きさに紐を張り巡らす感じか。
すごいなぁ。
・・と、観察したのが4月の初めかな?そこは父が水遣りをする場所で、下手に植木に支え糸をかけると行ったり来たりするノズルで壊されるリスクは高い。その後も何度か壊れたり破れたりしてるのを見たけど、相変わらずそこにいて、転居の予定はないらしい。なんとなく馴染みになってしまったので密かに見守っているのだけど、棲家を自力で作り、壊れたら修復し作り直し生きる5mmの蜘蛛。すごいよ。
庭の片隅に住み着いている蜘蛛が一匹。物干しと塀と植木に支えの糸を張って直径20cmほどの巣を架けている。
最初に見たときは、支え糸が一本切れて半壊状態だった。何日かして見ると、同じ場所で同じ蜘蛛が(たぶん)せっせと巣を建築中だった。蜘蛛の巣って、外側から中心に向かって糸を張っていくのねぇ。糸の間隔も均等だし、へえぇ・・と感心して眺めてしまった。支えの糸はどうやって張るんだろう?糸にお尻でぶら下がってあとは風まかせでどっかに取り付くのかなぁ?
その蜘蛛は体長5mmあるかなきかだから、ヒトだったら5~60畳くらいの大きさに紐を張り巡らす感じか。
すごいなぁ。
・・と、観察したのが4月の初めかな?そこは父が水遣りをする場所で、下手に植木に支え糸をかけると行ったり来たりするノズルで壊されるリスクは高い。その後も何度か壊れたり破れたりしてるのを見たけど、相変わらずそこにいて、転居の予定はないらしい。なんとなく馴染みになってしまったので密かに見守っているのだけど、棲家を自力で作り、壊れたら修復し作り直し生きる5mmの蜘蛛。すごいよ。
庭がドンちゃん騒ぎだ。
すずらん、サクラソウ、オダマキ、岩唐草、ハナミズキ、カイドウ、アズマギク、スミレがようやく終わった。ツツジとビオラが盛りを過ぎて暑苦しい。薔薇が見頃。
思い切り「和」の押し出しで咲くカキツバタの隣に、カラー。どういう取り合わせ?
春菊もいまが盛り。ゴーヤを植える予定のプランターを占領していたので、素焼きの鉢6つにちょっと強引に引越し。根が傷んでダメになるかななんて心配は無用だった。五月の風にきらきらと揺れている。陽の光を集める黄色いパラボラアンテナにいろんな虫が飛んで集まる。祭りのよう。
カオスのようなこの五月の庭を支配しているのはミカンの木。白い小ぶりな花は、お祭り騒ぎの華々しさはないけれど、匂いで庭を制している。窓を開けるたび、庭に下りるたび、呼吸が深くなる。
すずらん、サクラソウ、オダマキ、岩唐草、ハナミズキ、カイドウ、アズマギク、スミレがようやく終わった。ツツジとビオラが盛りを過ぎて暑苦しい。薔薇が見頃。
思い切り「和」の押し出しで咲くカキツバタの隣に、カラー。どういう取り合わせ?
春菊もいまが盛り。ゴーヤを植える予定のプランターを占領していたので、素焼きの鉢6つにちょっと強引に引越し。根が傷んでダメになるかななんて心配は無用だった。五月の風にきらきらと揺れている。陽の光を集める黄色いパラボラアンテナにいろんな虫が飛んで集まる。祭りのよう。
カオスのようなこの五月の庭を支配しているのはミカンの木。白い小ぶりな花は、お祭り騒ぎの華々しさはないけれど、匂いで庭を制している。窓を開けるたび、庭に下りるたび、呼吸が深くなる。
昨年の秋。
食べられるものを育てるヨロコビを教えてくれたゴーヤの後に春菊の種を蒔いた。春菊は強くてプランターいっぱいにわさわさと茂った。摘んでも摘んでも後からあとから葉が伸びて、ひと冬、いや春まで香り高い緑を味わった。
葉が固くなってきて、蕾を付けてきたので、もう旬も過ぎたねぇとそろそろ抜いてしまおう・・と思っていたら、花が咲いた。
これがねえ、思いがけず綺麗な花で驚いた。
そういえば、野菜の花ってあんがい綺麗だよね。
豆類はスイートピーみたいだし、オクラなんか芙蓉のようだし。
でも実を収穫するわけじゃない春菊の花なんて見たこともなかった。菊そのもの。とっても生命力に溢れた黄色をしている。
120円の種一袋でずいぶん長いこと舌を喜ばせてもらって、最後は目も楽しませてもらっている。
食べられるものを育てるヨロコビを教えてくれたゴーヤの後に春菊の種を蒔いた。春菊は強くてプランターいっぱいにわさわさと茂った。摘んでも摘んでも後からあとから葉が伸びて、ひと冬、いや春まで香り高い緑を味わった。
葉が固くなってきて、蕾を付けてきたので、もう旬も過ぎたねぇとそろそろ抜いてしまおう・・と思っていたら、花が咲いた。
これがねえ、思いがけず綺麗な花で驚いた。
そういえば、野菜の花ってあんがい綺麗だよね。
豆類はスイートピーみたいだし、オクラなんか芙蓉のようだし。
でも実を収穫するわけじゃない春菊の花なんて見たこともなかった。菊そのもの。とっても生命力に溢れた黄色をしている。
120円の種一袋でずいぶん長いこと舌を喜ばせてもらって、最後は目も楽しませてもらっている。
私は「ほうれんそう」が苦手だ。というか嫌いだ。
「報告、連絡、相談」って奴。ほうれんそう、ってそのビジネスマナー入門編的な語呂合わせのセンスも虫唾が走る。
で、言葉の問題だけじゃなくて。報告?メンドクサイ。連絡?メンドクサイ。相談?したくなーい。っていう性格の私は、組織には馴染まないよなぁ。
何かで読んだんだったかな。昔の職人は一日二十語発するだけで暮らしたって。黙々と。いいなぁ。いいなぁ。
いちいち報告書上げて、連絡票書いて、ミーティング。
うんざり。
家族とだって話すのメンドクサイ時あるのに・・・。
「報告、連絡、相談」って奴。ほうれんそう、ってそのビジネスマナー入門編的な語呂合わせのセンスも虫唾が走る。
で、言葉の問題だけじゃなくて。報告?メンドクサイ。連絡?メンドクサイ。相談?したくなーい。っていう性格の私は、組織には馴染まないよなぁ。
何かで読んだんだったかな。昔の職人は一日二十語発するだけで暮らしたって。黙々と。いいなぁ。いいなぁ。
いちいち報告書上げて、連絡票書いて、ミーティング。
うんざり。
家族とだって話すのメンドクサイ時あるのに・・・。
この家で四季を過ごした。一年経った。
そろそろベランダの夏支度を始めようとゴーヤの苗を注文した。
セールになっていたカロライナジャスミンも一緒に。西側のベランダフェンスに這わせよう。蔓性の植物が好きだ。姿形に予測がつかないところ、でも乱れたままに整ってしまうところが。
植物の話ってほんとうに興味深い。
カロライナジャスミンはジャスミンと名がついていても、お茶に浮かべてみようかしらん、なんて思ってはいけません。ええ、決して。
そろそろベランダの夏支度を始めようとゴーヤの苗を注文した。
セールになっていたカロライナジャスミンも一緒に。西側のベランダフェンスに這わせよう。蔓性の植物が好きだ。姿形に予測がつかないところ、でも乱れたままに整ってしまうところが。
「カロライナジャスミン」と同属の植物に「コマントウ(胡蔓藤)」"ヤカツGelsemium elegans"があるが、これは中国南部に分布している。「神農本草経」に、ヤカツ(冶葛)、コウフン(鉤吻)などという名前で記載されている。カロライナジャスミンと同様なアルカロイドを含み、elegans(優美な)という名前に反して猛毒で、毒殺に用いられたという。現在では神経痛、リウマチや打ち身などに外用されるだけである。日本には奈良時代に唐からコマントウ胡蔓藤の根が「ヤカツ(冶葛)」の名で渡来し、奈良の正倉院には冶葛の現物とその専用容器の冶葛壺が残っている。
植物の話ってほんとうに興味深い。
カロライナジャスミンはジャスミンと名がついていても、お茶に浮かべてみようかしらん、なんて思ってはいけません。ええ、決して。
父と一緒にモミジの剪定をした。
モミジは玄関横にこんもりと鎮座している。モミジはほんとうは放っておいても綺麗な樹形になるらしいのだけれど、枝が大きく張り出してしまい庭へ向かう通路を塞いでしまうので切り詰めてある。何年も切り詰めてきたので逆におかしな方向に新枝が伸びて、もさもさに混みあってしまうのでこの時季に枝を落としているんだって。
最近はモミジの葉が落ちきらないうちに2月になる、と父が言う。
紅葉が終わると葉が落ちるのは木が眠るからで、眠っている間は樹液が回らなくなるのでそれで葉が落ちるんだそうだ。眠っている間に枝を落としてやれば木の負担が少ないので2月に剪定するんだとか。
混みあっている枝にハサミを入れる。みるみるうちに水が上がってくる。切り口にまあるく水滴が生る。へえ、木はこんなに水を吸っているんだ・・と驚く。
ほんとならこの時季はこんなに水はあがらないんだけどな、と父。木が眠りきっていないってことらしい。昔よりも暖かい冬だってことかもしれない。
あちこちの枝を落としてゆく。水滴がぽとぽと滴り落ちてくる。
切り口の水滴を指先に移して、舐めてみた。苦いかなと思ったのだけれど、予想に反してまあるい甘味があった。へえぇ・・と思う。
ひととおり枝を落として樹形を眺めていたらメジロがやってきた。見通しのよくなったモミジの枝から枝へ軽やかに飛び移りながら、切り口の水滴で喉潤わせている。それから玄関横に飾ってある満開の白梅の蜜を吸いはじめる。可愛らしいなぁ。可愛らしい。10分近く?父とふたりでじぃっと黙ってメジロを愛でていた。またおいで。
モミジは玄関横にこんもりと鎮座している。モミジはほんとうは放っておいても綺麗な樹形になるらしいのだけれど、枝が大きく張り出してしまい庭へ向かう通路を塞いでしまうので切り詰めてある。何年も切り詰めてきたので逆におかしな方向に新枝が伸びて、もさもさに混みあってしまうのでこの時季に枝を落としているんだって。
最近はモミジの葉が落ちきらないうちに2月になる、と父が言う。
紅葉が終わると葉が落ちるのは木が眠るからで、眠っている間は樹液が回らなくなるのでそれで葉が落ちるんだそうだ。眠っている間に枝を落としてやれば木の負担が少ないので2月に剪定するんだとか。
混みあっている枝にハサミを入れる。みるみるうちに水が上がってくる。切り口にまあるく水滴が生る。へえ、木はこんなに水を吸っているんだ・・と驚く。
ほんとならこの時季はこんなに水はあがらないんだけどな、と父。木が眠りきっていないってことらしい。昔よりも暖かい冬だってことかもしれない。
あちこちの枝を落としてゆく。水滴がぽとぽと滴り落ちてくる。
切り口の水滴を指先に移して、舐めてみた。苦いかなと思ったのだけれど、予想に反してまあるい甘味があった。へえぇ・・と思う。
ひととおり枝を落として樹形を眺めていたらメジロがやってきた。見通しのよくなったモミジの枝から枝へ軽やかに飛び移りながら、切り口の水滴で喉潤わせている。それから玄関横に飾ってある満開の白梅の蜜を吸いはじめる。可愛らしいなぁ。可愛らしい。10分近く?父とふたりでじぃっと黙ってメジロを愛でていた。またおいで。
玄関を出たらほのかな梅の香。玄関脇の苔生した花台に白梅の鉢が置いてあった。庭の盆栽棚の一角は私の守備範囲ではないので気がつかなかった。梅の花がほころんでいた。早い春が来ている。そう思ってみるとこの間までしきりに枯れ葉を散らしていた辛夷の枝先に柔らかそうな産毛を付けた蕾がふくらんでいた。
初冬には、落葉や葉が朽ちてゆく様に命の終焉をイメージしてしまうけれど、そうじゃない。木々はちゃんと新芽の準備をしている。新しく芽吹くために古い葉を落とす。エネルギーを次の世代に向ける。それを当たり前に繰り返している。そうして花が咲く。ひとの思惑などかかわりなく。
うわぁ。思惑だの終焉だの準備だの当たり前だの、陳腐だなぁ。
植物はすごい。美藤はちっさい。恥ずかしいぞよぞよ。
植物への憧れが日々強くなる。
・・・・・・・・
美藤。白梅の幹のキノコみたいなのいじらなかったか?
え~ぃじんないょぉぉ...と一瞬言い逃れしかけたけど。
あ~やっぱり大事なものでしたかぁ(汗)。
白梅を見てたら幹になんか生えてて、これってもしかして?と思って指先でちょんとやったら落っこちたんです。
あ、やば?? と思ったんだけど、やっぱNGでしたか・・ははは。
梅の木にサルノコシカケはなかなかでないんだぞ~
と父上ちょっと気落ちしてました。ごめ~~~~ん(笑)。
初冬には、落葉や葉が朽ちてゆく様に命の終焉をイメージしてしまうけれど、そうじゃない。木々はちゃんと新芽の準備をしている。新しく芽吹くために古い葉を落とす。エネルギーを次の世代に向ける。それを当たり前に繰り返している。そうして花が咲く。ひとの思惑などかかわりなく。
うわぁ。思惑だの終焉だの準備だの当たり前だの、陳腐だなぁ。
植物はすごい。美藤はちっさい。恥ずかしいぞよぞよ。
植物への憧れが日々強くなる。
・・・・・・・・
美藤。白梅の幹のキノコみたいなのいじらなかったか?
え~ぃじんないょぉぉ...と一瞬言い逃れしかけたけど。
あ~やっぱり大事なものでしたかぁ(汗)。
白梅を見てたら幹になんか生えてて、これってもしかして?と思って指先でちょんとやったら落っこちたんです。
あ、やば?? と思ったんだけど、やっぱNGでしたか・・ははは。
梅の木にサルノコシカケはなかなかでないんだぞ~
と父上ちょっと気落ちしてました。ごめ~~~~ん(笑)。
暮れの大掃除の後だから27日かな、小さな器に生けて玄関に置いた庭の千両がまだ葉も落とさず実の色も褪せずにいる。ひと月以上。どんだけ我が家の玄関が寒いかって話だわ・・・。
寒いんだけど、私はうちの玄関が好き。
半世紀ほど前にこの家を建てた人は、都内で手広く商売をやっていた人で、隠居したら住むつもりでいたとかでなかなか無駄に凝った家だ。父がこの家を買ってから二階を増築したり台所周りに手を入れたりしたので、全体としてはただの昭和の家になってしまい、売りに出したら「古家有り」という土地だけの価値しか無さそうなんだけど、でも玄関だけはなかなかいい。と私は思っている。
玄関の引き戸は硝子格子の一間両開きで、跨がないと入れない高い敷居だ。木製の敷居と戸が、からからりと軽やかな音をたてる。入って左手には丸窓があり、鴨居や土壁には竹の細工があったりする。格子の組天井もなかなか良いのではない?上がり框の前の沓脱ぎも自然な切り出し石で夏は打ち水をするとひんやり心地良い。冬寒いわけだ・・。
一階の建具はすべて木製なんだけれど、半世紀前はちゃんとした国産の木を使っていたからなんだろう歪みも破損もなにもないことに感心する。前に住んでいたマンションの建具は一見洒落てはいたけれども、築浅いにもかかわらず歪んできたのがわかったし、柱などうっかり撫で上げたりするとトゲ刺したりした。木目の粗い輸入材や合板だからだ。
使っている硝子も昔のどこか温かみのあるもので、今の硝子に比べたら強度は低そうなのによく割れずにもっていると思う。
硝子も建具も壊れたら換えはないと思うと、古臭く煤けた木戸一枚がすごく懐かしいものに感じる。
敷居は高いし段差は多いし、水周りも使い勝手は悪いしともかく寒いしでバリアフリーとは無縁の家なんだけれど、この玄関や建具を残してのリフォームとか可能だろうか?なんかすごくお金かかりそうだ。古民家と言えるほどの価値はないけど、とても愛着があって建て替えなんて考えられない。テレビのビフォアアフターだっけ、リフォーム番組、あれに出てなんとかの匠にお願いするしかないかしら・・と密かに考えたりしてる。
しかしこの家は寒い。
寒いんだけど、私はうちの玄関が好き。
半世紀ほど前にこの家を建てた人は、都内で手広く商売をやっていた人で、隠居したら住むつもりでいたとかでなかなか無駄に凝った家だ。父がこの家を買ってから二階を増築したり台所周りに手を入れたりしたので、全体としてはただの昭和の家になってしまい、売りに出したら「古家有り」という土地だけの価値しか無さそうなんだけど、でも玄関だけはなかなかいい。と私は思っている。
玄関の引き戸は硝子格子の一間両開きで、跨がないと入れない高い敷居だ。木製の敷居と戸が、からからりと軽やかな音をたてる。入って左手には丸窓があり、鴨居や土壁には竹の細工があったりする。格子の組天井もなかなか良いのではない?上がり框の前の沓脱ぎも自然な切り出し石で夏は打ち水をするとひんやり心地良い。冬寒いわけだ・・。
一階の建具はすべて木製なんだけれど、半世紀前はちゃんとした国産の木を使っていたからなんだろう歪みも破損もなにもないことに感心する。前に住んでいたマンションの建具は一見洒落てはいたけれども、築浅いにもかかわらず歪んできたのがわかったし、柱などうっかり撫で上げたりするとトゲ刺したりした。木目の粗い輸入材や合板だからだ。
使っている硝子も昔のどこか温かみのあるもので、今の硝子に比べたら強度は低そうなのによく割れずにもっていると思う。
硝子も建具も壊れたら換えはないと思うと、古臭く煤けた木戸一枚がすごく懐かしいものに感じる。
敷居は高いし段差は多いし、水周りも使い勝手は悪いしともかく寒いしでバリアフリーとは無縁の家なんだけれど、この玄関や建具を残してのリフォームとか可能だろうか?なんかすごくお金かかりそうだ。古民家と言えるほどの価値はないけど、とても愛着があって建て替えなんて考えられない。テレビのビフォアアフターだっけ、リフォーム番組、あれに出てなんとかの匠にお願いするしかないかしら・・と密かに考えたりしてる。
しかしこの家は寒い。
19日が仕事休みだってすっかり忘れていたのだ。
昨夜お風呂に入っている時に思い出したんだけど、家族には内緒にすることにした。言わないでおけば私だけの休日になるじゃん・・と思いついちゃったのだもの。
で、朝いつも通りに起きて仕度して出かけた。
どこへ? どこへでも!
この開放感はなんだろうね。誰も私がどこにいるか何をしてるかホントのことを知らない。
小さい頃からひとり遊びが好きだった。ひとりでいること自体が楽しい遊びだった。野良猫を追って路地を曲がってみたり、電信柱の看板の矢印を辿ったり、行きずりの小さな公園のブランコに乗ったり。道を覚えて、美藤の世界地図を広げていくのが面白かった。ちっさな地図だけど。飽きたら家に帰る。放し飼いの家猫状態が私は好きなんだろうなぁ。
毎日必ず行かなければならない場所がある。毎日しなければいけない有償無償の仕事がある。毎日こなさなければいけない役割がある。大事なことだし、有難いことだしまあなんとかやってはいるけど、ときどきメンドーになる。今日は家族をサボタージュした。
普段は使わない五つ隣の駅で降りた。
終わりかけのセールを覗いてシャツとニットを安く手に入れた。
大きな神社に詣でて手を合わせ「サボるの大好きですけどごめんなさい」と一応謝っておいた。
御神籤を引いたら大吉だった。よしよしと思いながらよく読むと
「小さな自由に淫するな云々」と書いてあった。あらら、神さまホントにそこにいるんかいな?とちょっと笑った。
お蕎麦屋さんで牡蠣ソバを食べた。ランチについてきた蕎麦ゼリーが美味しかった。
また電車に乗ってさらに駅を五つ。坂をだらだら登ったさきにあるスーパー銭湯へ行く。露天風呂を満喫してからリクライニングソファに陣取り読書。「太陽を曳く馬」を2時間。
もう一度お風呂へ入ってジャグジー三昧。
お腹が空いたけれどクリームあんみつで我慢して、電車に乗る。
夕飯は水炊き。カンタン。よかった、鍋好きな家族で。
そんな一日。
ひとりの時間。
誰とも喋らなかったけど、ハナ歌はいっぱい。
こんな暢気も、もちろん家族がいるからこそだけど。
帰る家があるからこそふらふら放浪が楽しいんだけど。
・・と、罰が当らぬよう一応書き添えておこうと思うのであります。
昨夜お風呂に入っている時に思い出したんだけど、家族には内緒にすることにした。言わないでおけば私だけの休日になるじゃん・・と思いついちゃったのだもの。
で、朝いつも通りに起きて仕度して出かけた。
どこへ? どこへでも!
この開放感はなんだろうね。誰も私がどこにいるか何をしてるかホントのことを知らない。
小さい頃からひとり遊びが好きだった。ひとりでいること自体が楽しい遊びだった。野良猫を追って路地を曲がってみたり、電信柱の看板の矢印を辿ったり、行きずりの小さな公園のブランコに乗ったり。道を覚えて、美藤の世界地図を広げていくのが面白かった。ちっさな地図だけど。飽きたら家に帰る。放し飼いの家猫状態が私は好きなんだろうなぁ。
毎日必ず行かなければならない場所がある。毎日しなければいけない有償無償の仕事がある。毎日こなさなければいけない役割がある。大事なことだし、有難いことだしまあなんとかやってはいるけど、ときどきメンドーになる。今日は家族をサボタージュした。
普段は使わない五つ隣の駅で降りた。
終わりかけのセールを覗いてシャツとニットを安く手に入れた。
大きな神社に詣でて手を合わせ「サボるの大好きですけどごめんなさい」と一応謝っておいた。
御神籤を引いたら大吉だった。よしよしと思いながらよく読むと
「小さな自由に淫するな云々」と書いてあった。あらら、神さまホントにそこにいるんかいな?とちょっと笑った。
お蕎麦屋さんで牡蠣ソバを食べた。ランチについてきた蕎麦ゼリーが美味しかった。
また電車に乗ってさらに駅を五つ。坂をだらだら登ったさきにあるスーパー銭湯へ行く。露天風呂を満喫してからリクライニングソファに陣取り読書。「太陽を曳く馬」を2時間。
もう一度お風呂へ入ってジャグジー三昧。
お腹が空いたけれどクリームあんみつで我慢して、電車に乗る。
夕飯は水炊き。カンタン。よかった、鍋好きな家族で。
そんな一日。
ひとりの時間。
誰とも喋らなかったけど、ハナ歌はいっぱい。
こんな暢気も、もちろん家族がいるからこそだけど。
帰る家があるからこそふらふら放浪が楽しいんだけど。
・・と、罰が当らぬよう一応書き添えておこうと思うのであります。
2009年も残すところ1時間余り。
今年は大きな変化があった一年だったなあ。良いのか悪いのかなんて・・ジャッジするのはやめておこうと思う。釈然としないこと、胸塞ぐこともあるけれど、でもまあ、こんなものかもしれないなぁとも思うから。概ね納得してるんだろうね。
もう30分もしたら近所の神社へ初詣に出かける。ほんとは寒いし眠いし億劫なんだけど、父が行くというなら供をしないわけにはいかないだろう。無病息災、家内安全をお祈りしてこよう。
写真は庭の千両と信楽の狸。
今年は千両がよく実っている。鳥に食べられることもなく正月に彩を添えてくれそうだ。
2010年が良い年であるように。
今年は大きな変化があった一年だったなあ。良いのか悪いのかなんて・・ジャッジするのはやめておこうと思う。釈然としないこと、胸塞ぐこともあるけれど、でもまあ、こんなものかもしれないなぁとも思うから。概ね納得してるんだろうね。
もう30分もしたら近所の神社へ初詣に出かける。ほんとは寒いし眠いし億劫なんだけど、父が行くというなら供をしないわけにはいかないだろう。無病息災、家内安全をお祈りしてこよう。
写真は庭の千両と信楽の狸。
今年は千両がよく実っている。鳥に食べられることもなく正月に彩を添えてくれそうだ。
2010年が良い年であるように。
大空を飛ぶのは大き翼を持った鳥で、小鳥は低く低く飛ぶんだね。マンションの上階にいた頃は気がつかなかった。
2階の居間にいるとベランダや庭木の梢に小さな鳥がたくさんやって来る。今も隣家の屋根で雀が5羽、日向ぼっこをしてまん丸になっている。ふくら雀ってこれね。昔の人の名付け方っていいなぁと思ったりする。ヒヨドリは柿をつついて落とすので父には嫌われているけれど、あの鋭い鳴き声、冷たい空気を切り裂いてゆく冬の声が私は好きだ。
何日か前には聞き慣れない可愛い鳴き声が聞こえてそっと障子を開けて見てみたら、柔らかな橙色の胸をした小さな鳥がベランダの手すりにとまっていた。ひと声鳴いては嘴をカッカッと鳴らしている。ジョウビタキというのが彼の名前らしい。あまり見かけないけれど、キレイな小鳥。
時々来るメジロも可愛らしい。以前、庭のモミジにキジバトが巣をかけたことがあったけど、最近は来ないのかしら。と父に聞いたら野良猫が増えたせいでもう来なくなった、と苦々しげな答えが返ってきた(笑)。
知りたいのは、雀よりふた周りくらい大きい鳥の名前。黒い艶のある体色で細い黄色い嘴。2羽でよくみかけるけど、5羽くらいでいるときは小競り合いをしてる。ちょっと気が荒らそうな小鳥だ。昔からいたかしら?見た記憶ないんだけど、私が気づかなかっただけかな。子供の頃と、今と、同じ場所なのに見ているものが随分違うから。
2階の居間にいるとベランダや庭木の梢に小さな鳥がたくさんやって来る。今も隣家の屋根で雀が5羽、日向ぼっこをしてまん丸になっている。ふくら雀ってこれね。昔の人の名付け方っていいなぁと思ったりする。ヒヨドリは柿をつついて落とすので父には嫌われているけれど、あの鋭い鳴き声、冷たい空気を切り裂いてゆく冬の声が私は好きだ。
何日か前には聞き慣れない可愛い鳴き声が聞こえてそっと障子を開けて見てみたら、柔らかな橙色の胸をした小さな鳥がベランダの手すりにとまっていた。ひと声鳴いては嘴をカッカッと鳴らしている。ジョウビタキというのが彼の名前らしい。あまり見かけないけれど、キレイな小鳥。
時々来るメジロも可愛らしい。以前、庭のモミジにキジバトが巣をかけたことがあったけど、最近は来ないのかしら。と父に聞いたら野良猫が増えたせいでもう来なくなった、と苦々しげな答えが返ってきた(笑)。
知りたいのは、雀よりふた周りくらい大きい鳥の名前。黒い艶のある体色で細い黄色い嘴。2羽でよくみかけるけど、5羽くらいでいるときは小競り合いをしてる。ちょっと気が荒らそうな小鳥だ。昔からいたかしら?見た記憶ないんだけど、私が気づかなかっただけかな。子供の頃と、今と、同じ場所なのに見ているものが随分違うから。
休みの日には、せっせと庭を掃いている。
この時季は掃いても掃いても落ち葉である。きりがない。きりがないのがいいのだ。ハナミズキやコブシのからからと乾いた葉っぱを掃き寄せるときは軽快だ。モミジの下は庭石があって堆積した落ち葉が勝手に腐葉土化してふかふかだ。厄介なのはツツジの茂み。ツツジってほんと花も葉も散り際がだらしないったら。べたついた葉が落ちきらないで残っていて、えい面倒と株をがさがさ揺すると薮蚊や蜘蛛が飛び出してくる。庭の踏み石周りは地衣類や実生の若芽が生えていて可愛らしいのですこしばかり気を遣う。父はこぼれ種には鷹揚で、こんなところにという実生を面白がってそのままにしておくので庭はかなり混沌としている。そんなところも面白い。ひととおり掃いて塵取りを取りに戻るとまた落ち葉のモザイクなのである。きりがない。きりなく、無心である。
この時季は掃いても掃いても落ち葉である。きりがない。きりがないのがいいのだ。ハナミズキやコブシのからからと乾いた葉っぱを掃き寄せるときは軽快だ。モミジの下は庭石があって堆積した落ち葉が勝手に腐葉土化してふかふかだ。厄介なのはツツジの茂み。ツツジってほんと花も葉も散り際がだらしないったら。べたついた葉が落ちきらないで残っていて、えい面倒と株をがさがさ揺すると薮蚊や蜘蛛が飛び出してくる。庭の踏み石周りは地衣類や実生の若芽が生えていて可愛らしいのですこしばかり気を遣う。父はこぼれ種には鷹揚で、こんなところにという実生を面白がってそのままにしておくので庭はかなり混沌としている。そんなところも面白い。ひととおり掃いて塵取りを取りに戻るとまた落ち葉のモザイクなのである。きりがない。きりなく、無心である。
富士山はどこまで見えるか?
2009年10月30日 日常 コメント (4)これ、ずっと書こう書こうと思っていたんでした。
富士山はどこまで見えるか・・なんて実は考えたこともなかった。
きんと晴れ渡った冬の朝、遠くに雪を被った富士を見ながら学校へ行く、仕事に向かうというのが普通の日常だったから。
「ふ~じはにっぽんいちのやま~」と歌にも謳われているわけだし、Nipponといえば「フジヤマ」だし、日本中の人たちが富士山を見ていると思っていた。
ん?ちょと待て?・・んなわけないやろ? と思ったのは去年の正月。リンク先のはちさんが西の人間には富士山に馴染みがないと書かれていて、それで初めて富士山って全国津々浦々でみられるんじゃないのね・・と、あまりにも当たり前なことにいまさら気付いたというお恥ずかしい話(笑)。
で。北は福島県、南は八丈島、西は和歌山県が可視確認できたところだそう。
27日だったか、新宿から富士山が見えたというのを季節のトピックスとしてニュースでやってて、それを見て「私、富士山って見たことがないんです」と今年東京で働き始めた岡山育ちのHさんが言っていた。
「えー見たことない??」とはもう驚きはしなかった(当たり前 笑)。でも、「冬の朝ならけっこう綺麗に見えるのよ。清々しい気がするよ?」なんてなぜか自慢気に話している私。私が富士山作ったわけでもあるまいに(笑)
でもね。東京に生まれ育った者の心象風景の中に富士山は当たり前にあって、やっぱりどこか神々しく美しく懐かしい山なのね。
たぶん東京の小中学校の校歌には「富士」という歌詞がかなりの確率で使われていると思う・・・あ、これも誰か調べてくれてないかしら?気になる・・・。
富士山はどこまで見えるか・・なんて実は考えたこともなかった。
きんと晴れ渡った冬の朝、遠くに雪を被った富士を見ながら学校へ行く、仕事に向かうというのが普通の日常だったから。
「ふ~じはにっぽんいちのやま~」と歌にも謳われているわけだし、Nipponといえば「フジヤマ」だし、日本中の人たちが富士山を見ていると思っていた。
ん?ちょと待て?・・んなわけないやろ? と思ったのは去年の正月。リンク先のはちさんが西の人間には富士山に馴染みがないと書かれていて、それで初めて富士山って全国津々浦々でみられるんじゃないのね・・と、あまりにも当たり前なことにいまさら気付いたというお恥ずかしい話(笑)。
で。北は福島県、南は八丈島、西は和歌山県が可視確認できたところだそう。
27日だったか、新宿から富士山が見えたというのを季節のトピックスとしてニュースでやってて、それを見て「私、富士山って見たことがないんです」と今年東京で働き始めた岡山育ちのHさんが言っていた。
「えー見たことない??」とはもう驚きはしなかった(当たり前 笑)。でも、「冬の朝ならけっこう綺麗に見えるのよ。清々しい気がするよ?」なんてなぜか自慢気に話している私。私が富士山作ったわけでもあるまいに(笑)
でもね。東京に生まれ育った者の心象風景の中に富士山は当たり前にあって、やっぱりどこか神々しく美しく懐かしい山なのね。
たぶん東京の小中学校の校歌には「富士」という歌詞がかなりの確率で使われていると思う・・・あ、これも誰か調べてくれてないかしら?気になる・・・。
誰も悪くない、誰も悪くない。
雨の午前11時。一眠りして起きたらそう思う。だけど、階下に降りて愛想を振る気力が湧かない。唐突に洗濯機を回す。
10月にはいった途端、気持が沈みこんだ。毎年のことだけど。
10月はたそがれの国、10月はたそがれの国、じゅうがつは・・・。頭の中で呪文のようにこのフレーズがぐるぐる回る。 THE OCTOBER COUNTRY をよくぞたそがれの国と訳したもんだなぁと思う。毎年のことだけど。棚にあった「黒いカーニバル」をぱらぱらと読み返す。ここと、あそこ。彼岸と此岸との端境でぼぅっとする。雨の月曜日。たそがれるにはもってこいだね。
雨の午前11時。一眠りして起きたらそう思う。だけど、階下に降りて愛想を振る気力が湧かない。唐突に洗濯機を回す。
10月にはいった途端、気持が沈みこんだ。毎年のことだけど。
10月はたそがれの国、10月はたそがれの国、じゅうがつは・・・。頭の中で呪文のようにこのフレーズがぐるぐる回る。 THE OCTOBER COUNTRY をよくぞたそがれの国と訳したもんだなぁと思う。毎年のことだけど。棚にあった「黒いカーニバル」をぱらぱらと読み返す。ここと、あそこ。彼岸と此岸との端境でぼぅっとする。雨の月曜日。たそがれるにはもってこいだね。
朝、整髪料の匂いで、階下の父が起きたのがわかる。
いままで気にも留めていなかったんだけれど、父は数十年来同じ整髪料を使っているらしい。そういえば、なんか付けてたっけ?というくらい気にしてなかったんだけど。今年の夏、頭に湿疹ができて、60年ぶりという五分刈りにした父なのだが、長年の習慣で起きたらついその整髪料を付けてしまうらしい。
病気をしてからの父は、朝はゆっくりでどうかすると昼前まで起きてこないこともある。またその眠り方も静かで、あんまり静かなのでドキドキすることもある。だから、朝、それがほんのり匂ってくると、あ、起きたな、今日は普通に元気だなとわかって安心する。
先週から父は入院している。
潰瘍ができて出血しているので経過を見ながらの入院なのであまり心配はいらなそうなんだけれど、父が不在だというのに、家の中のあちらこちらで父の匂いがするのだ。
玄関から廊下へ入るあたりで特にその父の整髪料が匂ってくる。なんでこんなとこで?と不思議だったんだけど、どうも、その廊下のはいり口に下がっている木製の暖簾、これが匂いの元みたいだ。
そうだ、いつも父は少し腰を屈めて頭でこの暖簾を分けてここを通っているんだった。考えたらこの暖簾も40年以上ここに下がっている。父の整髪料の匂いがこの玉暖簾に移っていたんだなぁ。
父が家にいるときは気がつかなかった。
不在だからこそ匂うんだなぁと思うと少し切ない。
いままで気にも留めていなかったんだけれど、父は数十年来同じ整髪料を使っているらしい。そういえば、なんか付けてたっけ?というくらい気にしてなかったんだけど。今年の夏、頭に湿疹ができて、60年ぶりという五分刈りにした父なのだが、長年の習慣で起きたらついその整髪料を付けてしまうらしい。
病気をしてからの父は、朝はゆっくりでどうかすると昼前まで起きてこないこともある。またその眠り方も静かで、あんまり静かなのでドキドキすることもある。だから、朝、それがほんのり匂ってくると、あ、起きたな、今日は普通に元気だなとわかって安心する。
先週から父は入院している。
潰瘍ができて出血しているので経過を見ながらの入院なのであまり心配はいらなそうなんだけれど、父が不在だというのに、家の中のあちらこちらで父の匂いがするのだ。
玄関から廊下へ入るあたりで特にその父の整髪料が匂ってくる。なんでこんなとこで?と不思議だったんだけど、どうも、その廊下のはいり口に下がっている木製の暖簾、これが匂いの元みたいだ。
そうだ、いつも父は少し腰を屈めて頭でこの暖簾を分けてここを通っているんだった。考えたらこの暖簾も40年以上ここに下がっている。父の整髪料の匂いがこの玉暖簾に移っていたんだなぁ。
父が家にいるときは気がつかなかった。
不在だからこそ匂うんだなぁと思うと少し切ない。
秋台風が通り過ぎて、今日の空気は美味しかった。
温度湿度が絶妙のバランスで、強風がおさまるにつれて金木犀が濃厚に匂いたってきた。深呼吸。近所にりっぱな石塀に囲まれたお宅がある。塀の内側には大きな木々が聳えていて昨日の雨をたっぷりと吸い込んでフィトンチッドを嬉々として吐き出してくれているみたい。ちょっとした森林浴。この道はほんと気持がいい。深呼吸。
いくつか角を曲がって馬頭観音の祠のある道に出る。むむ。この匂いは!祠の横の歩道に一面オレンジ色の物体が。ん~臭い。嵐の置き土産は銀杏。深呼吸はしないけど、まあこれも秋の匂い。
帰って、ちょっとした期待をこめて父に銀杏のことを話す。「あそこの銀杏は実が小さいから誰も拾わないんだ」で終わり。あっそ。銀杏の塩焼き期待したんだけどな。ダメか。
温度湿度が絶妙のバランスで、強風がおさまるにつれて金木犀が濃厚に匂いたってきた。深呼吸。近所にりっぱな石塀に囲まれたお宅がある。塀の内側には大きな木々が聳えていて昨日の雨をたっぷりと吸い込んでフィトンチッドを嬉々として吐き出してくれているみたい。ちょっとした森林浴。この道はほんと気持がいい。深呼吸。
いくつか角を曲がって馬頭観音の祠のある道に出る。むむ。この匂いは!祠の横の歩道に一面オレンジ色の物体が。ん~臭い。嵐の置き土産は銀杏。深呼吸はしないけど、まあこれも秋の匂い。
帰って、ちょっとした期待をこめて父に銀杏のことを話す。「あそこの銀杏は実が小さいから誰も拾わないんだ」で終わり。あっそ。銀杏の塩焼き期待したんだけどな。ダメか。
「匂い」を探している。
一緒に仕事をしているNさんの纏っている香りがツボだ。調香されたパフュームではなくてハーブ単体のシンプルな感じのもの。少し癖があるんだけど忙しく働いている場所でふっと匂う残り香が悪くない。ゼラニュウムかな?と思って訊いたらクラリセージのリネンウォーターだという。
そんなに匂う?付けすぎかな・・と言うので、私はすごく好きな匂いでとても心地良いのよねーなんて話していたら、ほかのひとりが「え?ぜんぜん匂いません?!」という。ほら、これこれこの匂い・・・と言ってもわからないというし、Nさん本人ももう匂わないという。本人が鼻が利かなくなるのはわかるけど。たぶん美藤のマタタビ的な匂いなんだろう、と結論される。
いま感じている「この匂い」をひとに説明するのって難しい。
で、クラリセージを探している。・・・んだけど、お店でアロマオイルの壜を開けて嗅いでみても、これじゃないなーとなってしまう。「あの匂い」を見つけるのもまた難しい。
クラリセージNさんブレンド、であの匂いなのかなぁ。同じものを分けてもらって自分で付けても、もしかしたらこの心地良さは感じられないのかもしれないなぁ。しばらくNさんの10メートル後ろで深呼吸することになりそうだ。
一緒に仕事をしているNさんの纏っている香りがツボだ。調香されたパフュームではなくてハーブ単体のシンプルな感じのもの。少し癖があるんだけど忙しく働いている場所でふっと匂う残り香が悪くない。ゼラニュウムかな?と思って訊いたらクラリセージのリネンウォーターだという。
そんなに匂う?付けすぎかな・・と言うので、私はすごく好きな匂いでとても心地良いのよねーなんて話していたら、ほかのひとりが「え?ぜんぜん匂いません?!」という。ほら、これこれこの匂い・・・と言ってもわからないというし、Nさん本人ももう匂わないという。本人が鼻が利かなくなるのはわかるけど。たぶん美藤のマタタビ的な匂いなんだろう、と結論される。
いま感じている「この匂い」をひとに説明するのって難しい。
で、クラリセージを探している。・・・んだけど、お店でアロマオイルの壜を開けて嗅いでみても、これじゃないなーとなってしまう。「あの匂い」を見つけるのもまた難しい。
クラリセージNさんブレンド、であの匂いなのかなぁ。同じものを分けてもらって自分で付けても、もしかしたらこの心地良さは感じられないのかもしれないなぁ。しばらくNさんの10メートル後ろで深呼吸することになりそうだ。